100時間テレビの事
28 September
いずれは100時間テレビの事をしゃべったり書いたりすることがあるだろうから
この28日という23日深夜に終わって約100時間経った今書くのはいいかなあと思って書き出します。
LIFE VIDEOじゃね〜じゃね〜か
そうなんですよねえ。
この会社ができた時にこんな事をやるとは思っていなかったですよね〜
でも結局LIFE VIDEO株式会社でこのお仕事は受ける事になりました。
最初はうちのメンバーでもあり、他の色んな仕事もしている元電通のながっちゃんから話があったのか
それとも作家の高須ちゃんから電話があったのが最初だったかよく憶えていないんですけど
「ちょっとお話したいことがあるから時間とって下さい」と言われて
二人と会ったのがスタートですね。
とは言うもののそんなに前じゃなくて8月でした。
お盆前?
実際この100時間テレビが始まるのが9月19日からですからその一ヶ月ぐらい前ってことです。
YouTubeが5月のGWにやった「ミュージックウィーク」が好評だったので
11月の三連休が続くシルバーウィークに「エンタメウィーク」をやろうという計画があるんだが
ついては何かやらないか?と。
即返事しました。「やる!」
(なんでそんな事言ったかなあ、と今になると思うし実際100時間やっている間、何度も思いました)
でそのエンタメウィークが9月14日〜23日の10日間やるんだと聞いて「全部やる」と。
アホすぎます。
最初の計画は240時間テレビだったのです。
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点々を百個打っても足らんくらいアホです。
でも最初に何も聞かされていなくて会って「何かやりませんか?」に即答したのは
「期間中ずっと生放送をやる」でした。
高須ちゃんは「え〜〜〜っ。。。。でもとにかく何かはやってくれるんですね。わかりました。その意志だけ聞いて今日は帰ります」と言って帰って行きました。
なぜかその3時間後に日本テレビの中でバッタリまた会いました。
その時に「やっぱり100時間にする」と言ったようです。
その3時間に何があったのかよく憶えていません。
とにかく少し我にかえったのでしょう。
しかし240時間が100時間ですから半分以下になっている訳でかなりの「我にかえり方」だと思うんですが
現実的にそれが、つまり"100時間生放送をやる事"が、何を意味しているのかはその時にわかっている訳がありません。
と言うより大体「現実的」とは何なのでしょうか?
「現実的な線を探しましょう!」
とはよく会社の会議で交わされる会話かも知れません。
でもそれはつまらんだろうと思うのです。
人類の歴史は非現実的なことで進んで来たんじゃないか?
四つん這いから二本足で歩こうとした事は非現実的だったろうし
火を使う事も非現実的で
泥をこねて器を作る事も非現実的で
空を飛ぶ事も非現実的で
全ては非現実的であったのではないか?
なんて大きい話をする必要もないんですが
アポなしもヒッチハイクの旅をテレビでやる事が非現実的だったことを体感している僕にとっては
「現実的」は基本的には避けて通りたいものです。
話を戻しまして
YouTubeで何かやりませんか?
について一つだけ貫こうと思ったのは「テレビではできない事」でした。
それは何か?
それは時間枠です。
Aチャンネルでは何時〜何時までは◯◯をやる。
これはテレビが持っている宿命であります。
もちろん特別編成枠というのはありますが、それは文字通り「特別」であって通常ではありません。
では生の現実に生で対応する、即興的に対応する。つまりインプロビゼーションをやる。
これはネットコンテンツでしかできないことです。
これは別にとんでもない事ではなく既に新聞記事で起きている事です。
もう憶えている人も少ないと思いますが
新聞社発のニュースはネットに出た最初の頃、それが深夜に起こったものであれば、記事の公開は朝刊が配られる時間まではされない、という決まりがありました。
新聞社はあくまでも"紙の新聞"自体の公開が最初であるべきだという考え方であったのでした。
ところがそれはネットにおいてはナンセンスだということがわかり、そのうちに新聞が配られる時間に関係なく新聞社発のニュースは24時間発信されるようになったのです。
この変化は実は僕の心の中で「旧→新」の典型的なものとして残っていました。
とは言うものの日本テレビの報道局が全面協力するような事ではないので、その対応できる"現実"とは、所謂ニュースの現場ではない。それは一体なんだろう?と考えなくてはなりません。
そして「うらどり」というワードが浮かんできました。
最近はわからない事があればすぐにネットで検索すれば大抵のことはすぐにわかります。
しかしテキストの情報じゃなく、その場所、当事者に話を聞く"今のうらどり"は必要なんじゃないか?
そしてこの100時間に起きた事を"うらどり"して、それを号外のような新聞にする。
(東京オリンピック決定の号外が配られたことに影響を受けた事は明らかです。しかしそれは9月8日なので10日前にようやく最終形が見えて来たのだと言うことがバレてしまいます)
そんなことで
『100時間うらどりプレス』
と言う企画になり準備が始まりました。
この準備の最大の課題は「準備しない」事でした。
「準備をしない」のはなぜか?
100時間に起きた事に全部なま反応するという企画ですから
その前に準備してはいけない、となる訳です。
だから「100時間が始まるまで如何に何もしないか?」が始まるまでに心がける事となります。
とは言うものの、スタジオとか最低限の事は準備しなくてはなりません。
更に目標にしたのは「いかに最低限のスタッフでやるか?」です。
いまテレビ番組はどんな小さな番組でも100人以上のスタッフが関わっています。
そして何重ものチェックと何百もの会議が開かれます。
しかしこの規模でやってネットコンテンツが成立する訳がないのは
いくら予算に無頓着な僕でもわかります。
LIFE VIDEOにレギュラーにいるスタッフもなるべく巻き込まないようにして
とにかく小規模に小規模にやる。会議もなるべくやらない。
Facebookでグループを作ってそこで議論をして共有する。
実は大きな矛盾です。
「テレビでできない事をテレビの予算の100分の一でやる」
これをハンデでなく武器として考える。
だからこそ違うことができると考える。
しかし一人一人の負担がバカでかくなる。その人間がその場で自分で判断する事の範囲が大きくなる。それをせざるを得なくなる。
そうなりました。
担当の女性Pは100時間テレビに入った時に僕にボソッとつぶやきました。
「もう5日寝ていません。。。」
本当に迷惑な奴がこの会社のトップにいたもんです。
でも本当に一人一人が異常な力を発揮してこの企画を実現しました。
無駄な事は一切していません。全てが本当に必要な事でした。
いや必要な事もたくさんやり残して100時間に突入しました。
僕はスタッフにスタート数日前にこう言いました。
「たくさん"手抜かり"があっていい」
それがネットコンテンツの作り方だと思ったのです。
テレビは「無事に放送されて当たり前」
これに対してネットはベストエフォートです。「画が届かないこともある」それは出す方の問題なのか?途中の回線の問題なのか?それとも見ているパソコンの問題なのか?それがわからないのがネットです。
だからネットコンテンツも覚悟として「ベストエフォート」これをテレビをやって来た人間は逆にからだに叩き込まなくてはなりません。
だからゲストも100時間が始まる以前は何もしない!
これも習慣が身に付いている人間には厳しかった。。。
来て欲しい人はいるのに、そして事前に交渉できたら実現する可能性があるのにそれをやらない。
つまりは「失礼」をする、ということです。
100時間が始まってから「これから来れませんか?」と言うのは"失礼"です。
でもそれでも何人もの人が来てくれました。
本当にありがたかったです。人と言う57年間貯蓄して来た財産を使い果たした気分です。
(一人になると話をし続ける自信はなかったので元日テレ女子アナや電波少年の出演者には声をかけましたが、この辺は"失礼"してもいい人たちなので直前でよかったのですが、ゲストに来てもらうのを100時間始まってから声かけたのは心苦しかったです。ちなみにドワンゴの川上さんはガマンにガマンを重ねて前日にメールをして来てもらった人です)
そんな30年以上からだに染み付いている『テレビの常識』をぬぐい去ろうとした100時間でもありました。
この象徴的なものが「2分間の沈黙タイム」です。
初日に来てくれたMEGWINさんというネットコンテンツクリエーターが「コレ面白いんですか?」と執拗に絡んで来たのですが、毎時正時から2分間は時報とともに沈黙する、というものです。
大抵ゲストには予告なく始まってしまうので「それぞれの戸惑い」が映ってしまう、ということがありましたが、黙っていることが面白い、になるのか?という実験です。
もう二度とはやらないとは思いますが、僕にはやってよかったと思う面白い試みでした。
それはとにかく「僕たちはテレビから一番離れた事をやろうとしている」を思い出すきっかけ、の時間にもなるからです。
さてかなり長いこと書いてしまいました。
結局のところ「試みから何を得たか?」ということになるのですが
それは本当にたくさんの事を得た事は間違いありません。
ネットコンテンツという世界中がその形を模索し続けている今現在この事をやれた事は、大いなる未来につながる事だけを確信しています。
またやる日が来るかどうかはわかりませんが。。。
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